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大阪高等裁判所 昭和34年(ネ)422号 判決

関西信用金庫

理由

控訴人が被控訴人主張の日に本件為替手形に引受をしたことは当事者間に争がない。

証拠によれば、被控訴人は本件手形を訴外原田勝守から白地裏書により譲渡を受け、次に訴外関西信用金庫に白地裏書により隠れたる取立委任裏書をなしたこと、同金庫は支払呈示期間内に取立のため支払場所に呈示すべく手形交換に付したが、これに先立ち同金庫係員において、誤つて第一裏書の被裏書人記載欄に「関西信用金庫」と記入したため、裏書の連続を欠くに至り、交換により同手形を受取つた支払場所たる滋賀銀行より、それを理由に神戸銀行を経て右金庫に返戻して来たので、同金庫において被控訴人を通じて原田勝守に第一裏書の右誤記部分を抹消して貰い、改めて第二裏書の被裏書人記載欄に「関西信用金庫」と補充した上、呈示期間経過後の昭和三二年一二月七日再び支払場所に本件手形を呈示したが呈示期間経過等を理由にその支払を拒絶されたこと、その後被控訴人は同金庫から白地裏書により本件手形の戻裏書を受けこれが所持人となつたこと、その後被控訴人は右戻裏書全部と第二裏書の被裏書人欄の「関西信用金庫」の文字を抹消したため、本件手形の最終裏書として、被控訴人を裏書人とする白地裏書が残存することを認めることができる。

叙上の次第が被控訴人は、適法に取得し取立のため関西信用金庫へ信託的に譲渡した本件手形の返還を受け、実質的には現にその権利者となつていることが明らかであるから、その形式的資格の如何にかかわらず、その権利の行使は適法であつて、控訴人は被控訴人が右資格を欠くことを理由として支払を拒むことは許されない。

(省略)

次に控訴人は、本件手形の引受は控訴人が原田勝守のために金融を得させるためにしたものであるから控訴人としては本件手形金の支払義務を負わないと主張するが、このような理由で本件手形金の支払を拒むことは許されない。

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